建物遮音性能調査
住居(特にマンション等の集合住宅)の場合、隣室からの音や上階からの物音が気になるケースが多いです。
その相手が顔なじみであれば簡単な対処(ちょっとした注意を促す等)で解決できることもありますが、最近では隣近所との付き合いも昔に比べ薄くなっている傾向もあり、なかなか意向を伝えにくいことが多いようです。
そしてまた外部からの音の侵入が気になってくることもあります。
しかし、それらの音の大きさが特に取り立てて言うほどのものなのかという問題もありますし、建物のグレード上(仕様、老朽あるいは欠陥)の問題である可能性もあります。
この調査は住居の音環境として隣室または上階からのように部屋の外側から室内に伝わってくる音に対しての測定・評価をおこないます。
調査方法
調査はJIS A 1417、A 1418、Z 8731、及び日本建築学会推奨測定基準に準拠しておこないます。
室間(界壁)
- まずどれだけの音が室内に侵入してくるのか、そして侵入した音の大きさが一般的な水準に比べ問題となるのかを調べます。この結果だけで解決できる場合もあります。
次に建物のグレード上の問題の可能性があれば壁の遮音性能も評価します。
これは隣り合っている部屋の一方で音を出し、壁を伝わってもう一方の部屋にどれだけ音が透過するかを測定することで音の減衰量を調べ、それによって分かる壁の遮音性能を日本建築学会推奨基準の室用途別適用等級に照らし合わせることによってその建物の壁のグレードをもとめます。
当然のことになりますが、遮音性能の測定は対象となる両部屋での了解を得ることになります。 床(下階天井)
- 特殊なケースを除いてテレビの音声や普通の会話等の音がその床を通して下階に伝わることは通常あまり見受けられません。
床の場合は上階での歩行、飛び跳ねまたは床に物を落としたときに床に与える振動が下階天井から音として伝わるものがほとんどで床衝撃音と呼ばれます。
測定は上階床において規定された衝撃源で床に振動を加え、下階で聞こえる音の大きさを調べます。そしてそれによって分かる床の遮音性能を日本建築学会推奨基準の室用途別適用等級に照らし合わせることによってその建物の床のグレードをもとめます。
この場合も、遮音性能の測定は対象となる両部屋での了解を得ることになります。 外壁
- 外壁の場合は音が最も侵入しやすい経路が開口部(窓、換気口)になるため、遮音性能の良し悪しはほぼ建具等のグレードで決まります。
また問題となる音は道路走行車両や工場等、日常的に発生しているものがほとんどです。
評価としては壁の遮音性能が室内における騒音許容値を満足できているかということになります。
評価について
これらの調査では聞こえる音の大きさについて次のことがわかります。
- ・ 建物のグレード(仕様、老朽あるいは欠陥)によるものかどうか
- ・ その場所での生活環境に対しての評価
ただし、聞こえ方の個人差の問題、その人の精神状態、またその地域の環境(かなり静かな地域では僅かな音でも聞こえやすい)等が絡んできますと問題の解決は困難になりますが、第三者的な評価を明確にすることで問題解決に向けた策を講じることが可能となります。